③ CAM(補完代替医療)を加えたチーム医療
それに加えて当院では、西洋医学に加えて補完代替医療(Complimentary Alternative Medichine、以下CAM)も積極的に導入しいています。CAMとは米国補完代替医療センター(National Center of Complimentary Altemative Medicine 以下NCCAM)の定義では、「現段階では通常医療と見なされていない、様々な医学・健康管理システム、施術、生成物質など」と表記されています。以下に当院で行われているCAMを紹介し、最期にNCCAMの分類でそれらを分類してみました(表1)。
① シュタイナー医学からオイリュトミー療法:イギリスのペレドアオイリュトミー学校の治療コースを卒業したテラビストによって行われている。オイリュトミーとは「美しい調和」という意味。身体とこころと魂のバランスをとる治療法。診療範囲は幅広く、精神神経科的疾患、自閉症から癌末期まで対応する。(図参照)
② ドガーケーシーのオイルマッサージ療法:アメリカの霊的治療家、エドガーケーシーとライリー医師により編み出された治療法。当院のK医師はアメリカのライリースクールを卒業しオイルマッサージ師の資格を持つ。軽擦法で、身体全身をゆっくりマッサージする。癌末期には、しばしばこのマッサージは言葉を超えた癒しをもたらす。当院では医師とテラビストが対応する。(図参照)
③ びわの薬温熱療法:現法はびわの葉を幹部に置き棒灸を近づけて、局所を温める。
温灸と言うがお灸でない。びわの葉に含まれるアミグダリン(VB17)が温熱効果と相まって鎮痛作用、制癌作用があり免疫力を上げると言われている。テラピストが対応が対応。(図参照)
④ プハン(吸玉)療法(カッピング療法)。中国伝来の理学療法で1000年以上の歴史がある。古来より行われる吸玉療法は、局所のうっ血やコリをほぐす作用があると言われている。テラビストが対応。(図参照)
⑤ フットケア(リフレクソロジー):所謂足つぼマッサージである。足裏にある反射区(ツボ)をほぐすことで対応した五臓六腑へ働きかけたり、貯留した老廃物を流したりする。リンパドレナージも施行。テラビストが対応。(図参照)
⑥ クレニオセイクラル療法:頭蓋仙骨療法とも言われるが、肩こりや精神緊張の強い人には はなはだリラックス効果が期待できる。特に癌末期の患者は、初めての経験で、心身ともに疲れ果てている事が多い。よってそれによって生じたコリを静かにほぐす療法である。テラビストが対応。(図参照)
⑦ 退行催眠療法:癌の原因や、後悔のある人間関係を紐解き深く理解するのに最適である。なぜ私が癌になる?死んだらどうなる?など解答を得ることが出来る。テラビストが対応。
⑧ コロンハイドロテラピー:大腸洗腸法(コロニクス)。これもエドガーケーシーが推奨する方法。長年溜まった所謂宿便を効果的に排出するという。免疫力を上げ、美容に有効であるといわれている。看護師が対応。
⑨ ホメオパシー:200年前のドイツ、ハーネマン医師が確立。ホメオパシーは同種療法、類似療法と訳される。「症状を起こすものは、症状を取り去るものになる」という「同種の法則」が根本原則。病気の原因となる物質を極めて高度に希釈して薬(レメデイー)とする。安全で身体に優しく自然治癒力を引き出す。専門医師(ホメオパス)対応。
⑩ 気功(気功ツアー):中国の医師(中医)のS先生により行われる。気功には内気功と外気功があるが、当院では内気功の「法老功」を行っている。年に一回は、癌患者と家族を連れて気功ツアーに出かける。中医師対応。(図参照)
⑪ 機能性食品:健康上の利益があると考えられる食物や栄養補助食品を機能性食品と言う。当院では、AHCCやGCP,リポスフェリックVCなどを扱っている。医師対応。
⑫ 漢方薬:当院のH医師が専門医である。癌に限らず末期状態に対して患者のQOLを上げることは周知された事実である。医師、中医師対応。
⑬ 鍼灸治療:東洋医学の鍼灸である。身体の経絡のツボを鍼、灸で刺激することで鎮痛効果や免疫力の増強を期待できる。鍼灸師対応。
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⑭ 超高濃度VC(ビタミンC)点滴療法:アメリカのポーリング博士らがVCの抗がん効果について報告して以来、最近日本でも使用する医師が増えている。欧米の知見から、CR(完全寛改率)3%と言われる。(ちなみに抗がん剤は5%)抗がん剤と違って副作用がない(殆ど)のが、利点である。医師対応。
⑮ 免疫細胞療法:当院では東京のOクリニックと提携して、希望の患者にはリンパ球の点滴療法も行っている。医師対応。
⑯ 温熱療法(ハイパーサーミア):癌の制圧には温熱は一つのキーワードである。42度で癌細胞は死滅すると言われるが、決してそこまで上げなくとも39度でも免疫力は活性化され、著しく制癌作用が発動すると言われる。テラビスト対応。
⑰ 特殊外来(NON病外来、31分外来):順天堂大学の癌哲学外来まではほど遠いが、当院でも患者と共に、病気の意味を探しに行く手伝いを医師がゆっくり時間をとって行っている。医師対応。
⑱ 心理分析型カウンセリング:「貴方の中にすでにある答えを見つけてゆく作業」自分自身と向き合うための療法。テラビスト対応。
⑲ 生きがい相談:元福島大学教授飯田史彦氏が、十分な時間をとって種々直接相談を受ける。無料。
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(表1)
当院では、以上のCAMを実践しているテラビストが患家へ訪問してテラピーを施行しています(表1中*印)。全テラビストが対応できないのは残念ですが、今後在宅でも外来同様のサービスの充実を図りたく思っています。
間違いなくテラピーによりQCLは向上すると実感していますが、一部に保険適応もあるものの多くは実費になる事が問題かもしれません。現在、こうした在宅で診療しているケアの為の無償のボランティアの養成を考えているところです。
CAMを加えたチーム医療と言えます。
④ 究極的な極的なチーム医療
最期のチームは、実は「満足な死」を目的とした患者、家族、医療者が一体となった究極的なチームです。つまりは「おくりびと」と「おくられびと」が一体となったチーム医療です。「おくられびと」自らが、学び覚悟を決めて良き死に様をプロデュースする。
「おくりびと」はそれをサポートする。私はこれこそ、究極的なチーム医療ではないかと思っています。「おくりびと」はゆくゆく必ず「おくられびと」となります。きっと「良きおくりびと」は「良きおくられびと」となる事でしょう。
感謝の言葉のある看取りがあり、「健全な死」が通常となる時、それを「自然な死」と言えるのかもしれません。
過日それを実践する為の、施設をクリニックに併設しました。
「生きがい統合医療センター」です。
「生きがい統合医療センター」
昨年2009年、9月にOPENしました。一階はCAMを実践するテラピールーム。現在、先に紹介した様々なテラピーが一週間を通して行われています。現在、癌末期に拘わらず、精神神経科の患者さんも利用しています。
また、1階には、自然食レストラン(穂の歌)もあり、身体を創る食を提案しています。
基本的に無農薬(低農薬)でオーガニックな食材を使用し、安全でおいしい食事を目指しています。水もこだわりの水で、一切肉魚は使用していません。
2階は、飯田氏の研究所です。生きがい論の歴史が閲覧できる資料室や合唱の間では飯田氏作詞作曲の歌が流れ、その日集まった人々と合唱します。希望を無くした人への音楽療法の場でもあります。また、飯田氏による無料のカウンセリングを受ける事も出来ます。
クリニックでは西洋医学、統合医療センターでは補完代替療法と生きがい論の研究という三位を一体とした施設です。これから在宅ターミナルにも有機的に繋がった働きをしてゆきたいと考えています。
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「私たちは人生のチャレンジャー」